理事長 石川智久(としひさ)
愛媛県西条市出身 理学博士(北海道大学大学院理学研究科 1982年博士号取得)
ドイツ・デュッセルドルフ大学医学部(博士研究員)、大阪大学医学部(助手)、ドイツ癌研究センター(プロジェクトリーダー)、テキサス大学M.D.アンダーソン癌センター(助教授)、ファイザー社中央研究所(主任研究員・室長・部長)、東京工業大学(教授)、理化学研究所(上級研究員・テーマリーダー)を経て、2014年NPO法人「地方再興・個別化医療支援」を設立
NPO法人「地方再興・個別化医療支援」設立の背景
日本社会においては歴史的に類を見ない少子高齢化が進行しています。東京や大阪などの大都市圏が若者を吸引する一方、地方においては高齢化がどんどん加速されていいます。わが国全体において高齢者人口の割合が増え続け、2025年には全人口の35%以上を65歳以上の高齢者が占めることになると推測されています。全人口に占める高齢者の割合が増える一方、疾患にかかる高齢者の人数も増えます。年齢が50歳を越えると患者数が増加し、70~74歳でそのピークに達します。高齢者において多い疾患は、脳血管疾患、虚血性心疾患、癌、糖尿病、骨粗鬆症です。そのような時代にあって体力的にも脆弱な高齢者が安心で安全な医療を受けられる体制が必要不可欠であり、高齢者医療の品質向上は焦眉の急であります。
わが国において個別化医療を実現するに当たって、その対象として優先すべき患者は医薬品の副作用に弱い高齢者です。60歳以上の患者数は約300万人であり、2025年には約33%増加すると予測されています。日本の多くの人は60歳に定年を迎えるために、60歳以上の高齢者では平均所得が急激に低下します。高齢化による医療費の増大によって、この医療費の支払いは地方自治体の大きな負担となりつつあります。そこで、私達は地方における高齢者医療に対して、NPO法人事業に基づいて「自主」「自立」「持続性」のある個別化医療の支援をめざします。
豊かな老後を地方でおくるためにも、個人の健康、そして社会全体の健康が不可欠な条件となってきました。高齢化⇒医療費増大の悪の循環を断ち切るためにも、バイオ医科学とICT(インフォーマション・コミュニケーション・テクノロジー)技術によって、薬の副作用の回避といった患者の体質に合った個別化医療の実現に加えて、未病の段階で疾病リスクを検知し、食事や運動などによって疾病の発症を未然に防ぐといった新しいヘルスケア・サービス産業を早急に育成することが焦眉の急です。そのために、地域社会として自律的・持続的活動が可能でありつつ、人間的絆が残っている人口10万人程度の規模の地方をモデルとして、電子データベース化と情報ネットワークに基づく個別化医療の実現を支援いたします。
理念とミッション
理念:わが国の高齢者の健康増進と医療をサポートするために、地域の発展の機会を増大する方策にかかわりを持ち、また趣旨に賛同する多くの方々が皆心を合わせて、地域発展の新しい事業(NPO法人事業)を推進し、そこで獲得した基盤を生かし、直面する医療問題に対して最先端の知見を活かして、個別化医療を支援いたします。
ミッション:地域の発展とその構成員の健康医療は不可分であり、その2つを結びつける必要があります。係わりのある人たちが皆集まって、地域発展の方策に知恵を出し、またその果実を活かして、健康医療に役立つ最適な事業を企画し推進します。
地域社会の人間的な絆を基にして自律的・持続的活動が可能な法人運営を実施し、電子データベース化と情報ネットワークに基づく個別化医療とヘルスケアを実現します。その目標実現のために、NPO法人は農業・観光ビジネス等を行なって事業収入を安定化させて、個別化医療ヘルスケアの実現と事業拡大に必要な資金を創出いたします。そのNPO法人の活動を通じて地域の人々とのネットワークを強化し、NPOの理念とミッションを共有することによって、賛同する会員を増やし、地域の人材育成にも貢献しながら社会活動の拡大を図りたいと考えています。
NPO法人事業の概要
高齢者の個別化医療および健康増進
- 拠点病院の医師・薬剤師との関係づくり
- 調剤薬局と拠点病院とのネットワーク構築
- 個別化医療にむけた遺伝子タイピング技術の普及
- ICT技術によるネットワーク化の医療への応用を推進
- 健康増進および個別化医療に関して地域住民への講演・人材育成
農産業のビジネス事業化
- 新しい農産業のビジネス化・事業化の戦略づくり
- ソーラーICT農業およびオーナー制農園の普及
- 地方のブランド農産物の開発
- 健康増進に結びつく農産物の生産と料理方法の開発
- 機能性農産物と健康増進および地域医療ネットワークに関する国際会議を開催
国際交流事業
- 地域の観光資源や歴史などの英文化・Web発信
- 観光事業に参画する旅館・ホテル、物産店、飲食店等とのネットワークつくり
- 海外から観光客を呼び込むためのエージェンシー的役割
- 日本の伝統文化を紹介し・地方の生活を体験できる体制作り
- 海外からの観光客と地域の住民・生徒との文化交流を促進・サポート
NPO事業
NPO活動は将来的に全国展開を計画するが、その第1歩として、愛媛県西条市(人口約11万人)をモデル地区としてNPO活動を開始しました。
西条市は、四国山脈に霊峰石鎚山(西日本最高峰1982m)を有し、国の名水百選にも選出されている「うちぬき」と呼ばれる自噴水(地下水)や多様な農産物と水産物などで広く知られています。江戸時代、紀州徳川家より藩主徳川頼宣の二男・松平頼純を迎え、以後 紀州徳川家の支藩として幕末まで西条藩を治めました。 西条松平家第2代頼致は、紀州藩主徳川吉宗が将軍となったため、のちに紀州徳川家・紀州藩主を継いだ歴史があります。そのような歴史にもとづいて、10月中旬に開催される西条祭りは豪華絢爛で勇壮です。
西条市の風景
西条祭り