特定非営利活動法人 地方再興・個別化医療支援 設立趣旨書
1. 背景
日本社会においては歴史的に類を見ない少子高齢化が進行して、2025年には全人口の35%以上を65歳以上の高齢者が占めることになると推測されいます。関東や関西などの大都市圏には地方の若者が吸引されることにより、地方において高齢化がますます加速されています。その結果、先祖代々受け継がれてきた耕作地の多くが農家の高齢化のために放棄されている現状があります。さらに高齢者においては、脳血管疾患、虚血性心疾患、癌、糖尿病、骨粗鬆症などの生活習慣病の患者数が増加しており、地方における経済力と健全な生活基盤の低下は深刻な課題です。今こそ、地方の疲弊を防ぐために、地方の再興と高齢者医療の向上をめざした包括的な取り組みをスタートすることは焦眉の急であります。
2. 理念とミッション
2-1. 理念
地方の発展とそこに住む人々の健康医療は不可分であり、地方住民および地元企業・商店等との共同作業を通して、「自主」「自立」「持続性」のある地方再興と高齢者のための個別化医療を支援します。個別化医療とは、服用薬の種類ならびに特定の遺伝子の型を知ることによって、薬の治療効果や安全性を予測して、個々人の体質にかなった医療を行うことをさします。
2-2. ミッション
NPO法人の趣旨に賛同する多くの方々が皆心を合わせて、地方再興の新しい事業を推進し、そこで獲得した基盤を生かし、直面する問題に対して最先端の知見と技術を活かしつつ個別化医療に向けた地域医療ネットワークを実現します。人間的絆が残っている人口数万人～10万人程度の小規模の地方をモデルとして、耕作放棄地を活用した農業と食品加工事業、ならびに国際交流・観光事業等に基づいて資金基盤を構築して、情報コミュニケーション技術（ICT）を活用した個別化医療ネットワークを実現します。そして地域の人々とのネットワークを強化してNPO法人の理念とミッションを共有することによって、賛同する会員を増やし、地域の人材育成にも貢献しながら社会活動の拡大を図ります。
3. 事業の概要
地方の再興と高齢者の個別化医療を支援することによって、地域の活性化と高齢者の生きがいを生み出すことができるように以下の事業をおこないます。
3-1.「高齢者の個別化医療」の実現化事業（NPO法人のゴール）
(1) 拠点病院の内科医師・薬剤師との話し合い
(2) 調剤薬局と拠点病院とのネットワーク構築
(3) 個別化医療にむけた健康ICカードの普及と遺伝子検査
(4) 薬物相互作用と遺伝子型に関するデータベースの開発事業
(5) 個別化医療・ヘルスケアに関して地域住民への講演会および人材育成
(6) 高齢者の疾患リスクと健康増進に関する研究と臨床応用
3-2. 農産業のビジネス事業（事業収入）
(1) 耕作放棄地を生かした新しい農業のビジネス化・事業化の戦略づくり
(2)「i-ネット野菜園」を通じた会員獲得
(3) 地方の資源を生かした食品加工事業（財源確保と地方の雇用創出）
(4) 健康増進に結びつく農産物の生産と国内外流通の活性化・Web戦略
(5) 地方ブランド農産物・加工食品を海外輸出（財源確保）
(6) 機能性農産物と健康増進および地域医療ネットワークに関する国際会議を開催
3-3. 日本の地方と伝統文化をアピールした国際交流事業（事業収入）
(1) 地域の観光資源や歴史などを英文化・Webで発信
(2) 観光事業を説明し、参画する旅館・ホテル、物産店、飲食店等とのネットワークつくり
(3) 海外から観光客を呼び込むためのエージェンシー的役割
(4) 日本の伝統文化を紹介し・日本の生活を体験できる体制作り
(5) 海外からの観光客と地域の住民や高齢者との文化交流を促進・サポート
(6) 国際交流を基にした地方ブランド農産物・加工食品の海外向け宣伝活動
4. NPO法人設立の理由
以上の事業を将来的には全国展開しますが、その第１歩として、愛媛県西条市（人口約10万人）をモデル地区として活動を開始いたします。西条市は、四国山脈に霊峰石鎚山を有し、国の名水百選にも選出されている「うちぬき」と呼ばれる自噴水や多様な農産物と水産物などで広く知られており、設立代表者の故郷でもあります。豊富な水資源を生かしたブランド農産物の栽培と食品加工、ならびに日本の伝統文化の紹介等には、ボランティアや高齢者が各々の得意能力を発揮して、積極的に参加できるようにオープンな運営体制をとることが必要です。そのために、特定非営
利活動法人(NPO法人)を設立しました。
2014 年５月１日
特定非営利活動法人 地方再興・個別化医療支援
設立代表者 石川智久
