発起人
濡木 理(東京大学大学院理学研究科・教授)
石川智久(NPO法人地方再興・個別化医療支援・理事長/愛媛大学医学部客員教授)
シンポジウムの目的
日本の再興に向けた国際戦略を立案して、それに資する人財育成を強力に推進する。そのために、多様な分野で国際的に活動してきて実績を残した人たちが一堂に会して、意見交換して将来ビジョンをまとめる。
発案の理由と根拠
2020年に始まったコロナパンデミックに加え、2022年のロシアによるウクライナ侵攻が拍車をかけて、欧米の金融引き締めによる市場の冷え込み、景気の悪化と暗い一年であった。明確になったのは、日本という国家は、エネルギー資源に乏しく、食料自給率が低く、半導体製造などのデジタル産業が海外に依存していて、それらの物流が止まれば国内の社会経済と生活基盤にとって大きな危機となる事である。20世紀最後のバブル崩壊により、経済大国だった日本は、経済の面でも科学技術の面でも、先進国に遅れを取り、東北大震災、熊本大震災、能登半島大震災はそれに拍車をかけた。
他方、日本における医療体制および創薬研究開発は、世界のトップレベルをまだ堅持している。これまで日本人研究者は、免疫抑制剤タクロリムス、認知症治療薬アリセプトとレカネマブ、感染症治療薬イベルメクチン、癌治療薬オプチーボ、リウマチ治療薬アクテムラ、インフルエンザ治療薬アビガン、新型コロナ感染治療薬ゾコーバなどを産みだして医療に大きく貢献してきた。日本の医療・創薬の潜在力をさらに強化して、当該分野に資する若手人財を速やかに育成することは、日本が医療・創薬で世界に貢献する国際戦略にも繋がるであろう。さらに言えば、国内の新薬認可システムの改革は焦眉の急である。
日本は、たとえ先進国の中で経済や科学技術の面で遅れをとっているとしても、「ものづくり」により、新しいシーズから文明を生み出す底力がある。我々「日本を元気にする会」のメンバーは、そういった日本独自の再生能力の道を模索する。0から1を生み出すアカデミア、1を10にするベンチャー、10を1,000にして商品として市場に売り出す大手企業が連携し、この困難な道を打開する道を模索する。日本が立ち直るためには、今をおいて2度とチャンスは来ないであろう。我々「日本を元気にする会」は、まず創薬・医療という分野に焦点を当てて、オリジナリティのものづくりの力を呼び覚まし波及させ、日本の復興とともに 医療・創薬による国際貢献と世界平和へとつなげることを目的とする。